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パッシブQスイッチレーザー技術

先進運転支援システム(ADAS)用パッシブQスイッチレーザー技術

自動運転技術や先進運転支援システム(ADAS)の進歩は、事故を未然に防ぐ性能に大きく左右されます。悪天候下においても「見る」ことができる機能を持つ車を実現することは、事故を防ぐ安全な自動運転システムを構築するための最大の課題です。

快適かつ安全で信頼性の高い自動運転システムを構築するためには多くの新技術が必要です。LiDARセンサーの量産採用はそのための重要な要素の1つであると考えられています。現在の自動車用LiDARシステムは、サイズとコストの両面で量産には適していません。現在、自動運転車に採用されているLiDARシステムの価格は、量産採用のための目標価格の 25 倍以上にもなります。

自動車メーカー及び自動運転システムメーカーとの協力関係により、クアーズテックはより効率的なレーザーユニットの開発・製造を通じて、最先端のLiDAR技術を進化させています。これらのセーザーユニットには、高度に制御された多結晶テクニカルセラミックスによる「パッシブQスイッチ」レーザー技術が採用されています。   

Ceramics for LiDAR

Polycrystalline YAG Button

パッシブQスイッチング技術

Qスイッチングは、量子力学の原理を応用して、連続的な入力を短い高エネルギーパルスに変換する技術です。Qスイッチングにより発振されたレーザーは、高いピークパワーと短いパルスの出力ビームを持ちます。これらの出力ビームは、一定の出力モードで動作するレーザーよりもはるかに高い出力を持っています。 またQスイッチングによって生成されるパルスは、一般的なダイオードや他の低出力レーザー方式よりも高精度の測距を可能にします。

Qスイッチングには、キャビティ内損失、つまりレーザー共振器の「Qファクター」の変調が含まれます。この技術は、作動するまで高いキャビティ損失を維持します。Qスイッチが透明になり、キャビティ内に蓄積されたエネルギーが素早くビルドアップして短い高ピークパワーパルスが発生するまで、レーザーはダイオードまたはフラッシュランプ光源で励起されます。

キャビティ内損失は、アクティブQスイッチング及びパッシブQスイッチングの2つの方法のいずれかを用いて制御及びスイッチングすることができます。

パッシブQスイッチングでは、高精度のパルスを繰り返し生成するため電気部品や可動部品は使用されません。パッシブQスイッチレーザーは、飽和またはレーザー励起によって材料が透明になるまで、高損失を示す材料によって制御されます。これによりレーザーパルスを生じる低損失が生み出されます。これらの可飽和吸収体の効果は、材料特性とドーパント濃度によって制御されます。

パッシブQスイッチングの優位性

パッシブQスイッチングには、次のような多くの利点があります。

  • 部品/システムの簡素化
  • 軽量化
  • アライメントの簡易化
  • 外部電源及び偏光光学系の廃止
  • 耐久性と信頼性の向上


パッシブQスイッチ技術の動作原理には、高度に制御されたYAGレーザー結晶の組み合わせが必要となります。レーザー媒質として機能するドープYAGは、理想の波長を作り出すように設計することができます。Cr:YAGやV:YAGなどのパッシブ飽和吸収体結晶と組み合わせることでQスイッチが形成され、理想のパルス出力ビームが生成されます。Qスイッチ吸収体材料の種類は、発振波長に応じて選択されます。

パッシブQスイッチの構成

 

単結晶材料の限界

現在、パッシブQスイッチ技術は、主にコバルトドープスピネルなどのドープ単結晶材料を用いた固体レーザーによって高エネルギー/高ピーク出力のナノ秒パルスを生成することで実現されています。

単結晶材料は、高価であることに加えて製造に非常に時間を要することが大量生産の際の大きな障害になっています。それに加えて単結晶材料へのドープ可能量は限定的であり、ドーパント濃度を自由に制御することは困難です。


クアーズテックの多
結晶YAG材料

クアーズテックの多結晶YAG材料は、単結晶材料に代わる優れた材料特性制御、高い生産歩留り、シンプルな製造プロセス、容易な生産量拡大を可能にする技術です。クアーズテックの多結晶YAG材料の詳細についてはこちら