テクニカルセラミックスの熱特性
概要
テクニカルセラミックスは、極高温や極低温の条件下で、膨張、収縮、溶融、亀裂などなく機能する製品が必要なアプリケーションで、金属や合金のなどの他の材料よりも優れた性能を発揮します。セラミックスは、温度、強度、精密さ、耐熱性が稼働の上での成功と安全に不可欠な幅広い用途に対応しています。
熱的特性は、材料が温度変化にどのように反応するかを特徴付けます。当社のテクニカルセラミックスの多くは、材料特性と構造を制御することにより、高温および低温における精密用途においても最適な熱的性能を持っています。多くのテクニカルセラミックスの配合は、動作温度範囲、熱伝導率、熱膨張係数、耐熱衝撃性が重要な各種用途の熱的特性の要求に適合するように調整することが可能です。
テクニカルセラミックスの熱特性
熱伝導率 W/m*K
熱伝導率は材料内部で熱がどれだけ良く拡散するかを示す特性値です。調理鍋は熱伝導率が高く、熱が均一に分散されて食品に素早く伝わります。一方で断熱手袋は熱伝導率が低いため、熱いものを扱う場合に手に熱が伝わらないようにするために使用されます。テクニカルセラミックスは非常に多様性があり、広範囲の熱伝導率を示します。クアーズテックのポートフォリオには400を超えるテクニカルセラミックスの配合があり、当社はお客様と協力して、お客様のアプリケーションに最適な材料を見つけることができます。
熱膨張係数(1X10-6/°C)
熱膨張係数は、温度によって材料がどの程度膨張または収縮するかを示す特性値です。ほとんどの材料は熱を加えると膨張しますが、これはエネルギーによって原子がより速く移動するようになり、その結合が引き伸ばされるからです。セラミックスは一般に、原子間の結合が強いため係数が低く、広い温度範囲にわたって安定しています。
比熱(J/kg*K)
比熱は、材料の温度を上げるのに必要な熱量を示す特性値です。温度調整が重要な高温アプリケーションでは、その特性値によってどの製品が最も優れた性能を発揮できるかが分かります。セラミックスは、高い比熱要求に対し抜群の性能を発揮し、鋼よりも優れています。
熱熱衝撃性(°C)
耐熱衝撃性は、急激な温度変化に耐える能力を示す特性値です。製品を急速に冷却すると中心部は高温のままで表面の温度が低下するため、不均一な熱収縮を生じます。多くのテクニカルセラミックスの配合は高い熱衝撃性を示す理由は、極度または急激な温度変化の際にも膨張や収縮を最小限に抑えていることによります。
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データチャートやその他の情報については、当社の電子書籍「Ceramics: The Powerhouse of Advanced Materials」をダウンロードしてください。
高い熱性能を持つセラミック材料
アルミナ:
アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、最も一般的に使用されるテクニカルセラミックスで、優れた総合的な性能を備えています。クアーズテックは、1500 °C以上の耐熱性を持つ、幅広い用途で使用される100種類以上のアルミナを設計しています。ジルコニア強化アルミナは、高い熱衝撃耐性と耐久性を備えた特殊なアルミナです。
窒化アルミニウム - 高熱伝導率:
窒化アルミニウムは、高い熱伝導率と強い電気抵抗を兼ね備えています。窒化アルミニウムは、多くの電子用途に最適なソリューションであり、電気システムの熱をすばやく放散させ、効率を最大化します。
石英 – 耐熱熱衝撃性と熱膨張:
合成石英ガラスまたは溶融シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)は、極めて低い熱膨張と極めて高い純度による優れた熱衝撃耐性を示します。これらの特性と熱安定性により、このテクニカルセラミックスは急速熱処理用途に使用されます。
ケイ酸塩 -耐熱熱衝撃性:
ケイ酸塩セラミックスは、粘土、カオリン、長石、石鹸石などの天然ケイ酸塩を原料として開発された多相材料です。ケイ酸塩は現在、電気絶縁体や化学実験器具などの技術用途に適しています。
炭化ケイ素 - 熱安定性:
炭化ケイ素 (SiC) は、高温において高い硬度、耐摩耗性、耐食性、強度を示します。クアーズテックは、特定用途の要件に適合するように最適化された特性と機能を提供する、さまざまな炭化ケイ素プロセスと組成を設計してきました。
窒化ケイ素 - 高温強度と耐久性:
窒化ケイ素(Si3N4)は独特な結晶構造を持ち、高い強度と靭性、優れた耐熱衝撃耐性を実現します。この材料は、高い動的応力、熱的厳密性、厳しい信頼性要件を伴う用途に最適です。
ジルコニア - 高耐熱性:
ジルコニアには、優れた強度、高い破壊靭性、耐摩耗性、高温耐性を兼ね備えた独特な結晶構造でできています。ジルコニアの中には、微小亀裂が形成されると膨張する結晶構造で設計されているものもあり、それらは亀裂の成長を阻止し、脆性破壊を防ぎます。これらの材料は、厳しい機械環境、特に衝撃を受けやすい用途に最適です。
優れた熱性能を必要とするアプリケーション
高温アプリケーションの材料をお探しですか?
クアーズテックにお問い合わせの上、お客様のアプリケーションのニーズと要件についてご相談ください。
クアーズテックのテクニカルセラミックスの専門家は、お客様と直接連携し、幅広い用途のカスタムデザインを設計しています。優れた熱性能を持つ先進的なテクニカルセラミック材料は、今日の多くのハイテク産業で高い価値があります。
当社のセラミックスは、以下の産業や用途でよく使用されています:
航空宇宙・防衛:
航空宇宙エンジンの部品と推進システムには、航空機エンジンや先進的な推進システムで最も厳しい要件に必要な高性能の熱特性を提供できるテクニカルセラミックスが必要です。当社のCerbec® ボールとベアリングは、他の材料では実現できない窒化ケイ素材料の優れた熱強度と耐久性を利用しています。さらに、先進テクニカルセラミックチューブとロッドは、高温性能特性を必要とする航空機タービンエンジンのベーンを形成するインベストメント鋳造(ロストワックス法)に使用されています。
炭化ケイ素は、飛行制御部品のような熱安定性が要求される用途に設計され、最適化されています。これらの材料は、幅広い温度範囲でピクセルスケールの熱安定性を必要とする地上または宇宙ベースの光学システムのミラーや構造部品に理想的です。
航空機のバルブ、シール、油圧部品に使用される流体制御システム部品は、エンジンや制御システムの厳しい使用条件に対応するために、高温性能を含むテクニカルセラミックスの高性能特性を必要とします。
自動車:
Cerbec®ベアリングボールや「ころ」などの転動体は、より高い回転数と温度で動作する能力を持ち、車載用の燃料噴射システムやEVモーターシャフトに理想的です。熱膨張を最小限に抑えたこのベアリングは、スチール製のベアリングよりも優れた性能を発揮します。
テクニカルセラミックス製のイグナイターは、暖炉、オーブン、ストーブなど、日常生活におけるさまざまな家庭用耐久財のアプリケーショで使用されています。
コンシューマーと家庭用耐久財:
セラミック加熱部品は、性能、効率、信頼性を最大限に引き出すように設計されています。これらの部品は、高い動作温度、低い熱膨張率、優れた耐熱衝撃性など、長い耐用年数と優れた熱安定性のために設計されています。
セラミックイグナイターの長年の専門知識を持つ当社は、高温面点火用の信頼性の高い長寿命のセラミックイグナイターを提供しています。当社のイグナイターは、ガス暖房システム、オーブン、レンジ、乾燥機など、高性能な熱特性を持つテクニカルセラミックスを必要とするアプリケーションで使用されています。
エレクトロニクス:
高輝度LEDやHID照明に必要な熱管理は、当社のテクニカルセラミックスの優れた熱性能と透光性部品によって実現されます。基板は、LED製造に使用されています。
HIDアーク管に関しては、当社はこのアプリケーション向けに量産性の透光性セラミックス開発し、製造に関する深い専門知識を持っています。当社の多結晶アルミナ材料は、最も明るく、最も要求の厳しい照明に必要な熱安定性と高い透光性を兼ね備えています。
機械と装置:
テクニカルセラミックスは、摩擦によって過度の摩耗(機械的特性を参照)や高温が発生する高速運転に精密な公差が求められる遠心ポンプ、コンプレッサー、ターボ機械など、幅広いアプリケーションのヘビーデューティ、ハードフェイスシール部品に使用されています。各ハードフェイスシールは、熱膨張と熱伝導に耐えるように製造されており、その形状と性能を確実に保持します。
半導体:
先進テクニカルセラミックスが半導体産業で使用されるのは、優れた熱性能と他の材料特性が両立しているためです。具体的には、超高純度のテクニカルセラミックスは、半導体ウェーハの処理と製造の全過程で必要な熱保護を提供します。製造中に使用される従来の炉やその他の急速熱処理(RTP) 装置は、最高1200°Cの温度に耐える材料を必要とします。
卓越した耐熱衝撃性と安定性を提供する高純度先進セラミックスは、成膜、拡散、エピタキシャル成長などの半導体ウェーハ処理アプリケーションに理想的です。
追加リソース
アメリカセラミックス協会:セラミックスの構造と特性